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第17回 「株式益回り」からPERの意味が見えてくる

2008/01/13

株式投資に使われる指標として代表的なものにPER(株価収益率)がありま す。PERは、以下の式により計算されます

 PER(単位:倍)=株価÷1株当たり当期純利益

株価が500円、1株当たり当期純利益が20円のA社であれば、 PERは500÷20=25倍となります。

一般的に、「PERが高いほど割高、低いほど割安」という説明がなされます。 では、なぜPERが高いと割高で、低いと割安なのか、皆さんは考えたことが ありますか?

PERを使いこなすには、まず、PERがどういう意味を持つのか理解する必 要があります。

PERの意味を理解するには、「株式益回り」という指標と関連付けるとよい でしょう。株式益回りは、以下の式により計算されます。

 株式益回り(単位:%)=1株当たり当期純利益÷株価

株価が500円、1株当たり当期純利益が20円のA社の株式益回りは、 20÷500=4%となります。

ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、PERは株式益回りの逆数になってい るのです。

株式益回りという指標はあまり耳慣れないかもしれませんが、例えば上述のA 社の「株式益回り4%」というのは、A社に今の株価で投資したら、年率4% のリターンが得られることを意味します。

企業が得た利益は、一部が配当金として株主に還元されるほか、残りは株主資 本に組み込まれます。株主資本は株主のものですから、上の例で言えば、投資 元本に対して年率4%の利益をA社が獲得することで、株主は配当金、もしく は純資産の増加により投資元本の4%分のリターンを享受することになります。

一方、株式益回り4%は、PER25倍と同じことです。PERの側面から見れ ば、今の株価で投資した場合、投資元本を利益によって25年で回収できること を表しているのです。

ですから、例えばPER100倍のB社であれば、株式益回りは1%になります。 現在の株価で投資しても年率のリターンは1%しか得られない、PERの観点 からみれば、投資元本を利益で回収するのに100年もかかる、ということです。

一方、PER10倍のC社があるとすれば、その株式益回りは10%で、年率のリ ターンは10%が期待できることになり、PER側からとらえれば、投資元本を 10年の利益で回収できることを表します。

B社とC社を比べれば、株式益回りでみればB社は1%、C社は10%となりま す。PERではB社の100倍に対してC社は10倍です。

このように、PERが高い場合は株式益回りが低くなり、逆にPERが低けれ ば株式益回りは高くなるのです。

こうしてみると、PERが高いと株価が割高、低いと逆に株価が割安、という 意味がお分かりいただけるのではないでしょうか。

しかし、残念ながら、PERは、高ければ割高、低ければ割安、と決め付けら れるほど単純なものではないのです。実は、今までの説明は、利益の水準が将 来にわたって一定という前提がありました。 実際は、「PERが高くても株価は割安」、「PERが低いのに株価は割高」 というケースも頻繁に出てくるのです。

では、どうやってPERを使いこなすのか、その方法は次回以降、具体的にご 説明します。


足立武志
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェッカー取締役

1975年生まれ 神奈川県出身 一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活 動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情報の提供に努めている。

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