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<< Home / 著者インタビュー / File 016 『裁量トレーダーの心得 初心者編』デーブ・ランドリー氏

 テクニカル分析では、古典的なテクニカル分析の本が好きです。『マーケットのテクニカル百科 入門編実践編』(パンローリング)や、『Technical Analysis & Stock Market Profits』(未翻訳)です。  私のお気に入りは、トレードの心理面を扱った本です。特に推薦したいのは、ジェシー・リバモア自身による著書のすべてとリバモアに関する著作です。『欲望と幻想の市場』(東洋経済新報社)は、何十年前に書かれたものですが、そのメッセージは現代にも通用します。人の本質というのはけっして変わることはありません。このような古典的名著が好みですが、もっと新しい投資本リストについては、私のホームページを見てください。


 第一に、じっくりと構えること。シンプルにやること。チャートパターンを学ぶのと同じくらい熱心に資金管理を学ぶこと。そして感情を抑えることです。

 さらに、将来については、あとは成長するだけと思ってください。あなたのキャリアの最初では、よく大きな過ちを犯すと思います。ですから、初めは少ない資金でトレードしてください。それで成功したら、ゆっくりと資金を増やしていくようにしてください。

 初心者が自覚しなければいけない点として、マーケットで長く生き残ったトレーダーはリスクを管理しながら、控えめなリターンを上げています。世界で最も優れたマネーマネジャーたちは、厳密に管理された低いドローダウンを保ちながら、2桁の下のほうのリターンを記録しているのです。もしあなたが初心者ならば、現実的になってください。たぶん、あなたが世界で最高峰のマネーマネジャーよりも優れているということはないでしょう。少なくとも、あなたが初心者のうちは。

 リスクを抑えてトレードを続けていれば、ときに条件がそろったときには、驚くような成果を上げることができます。ただ、ほとんどの時期で、大きなリターンは期待できないでしょう。  繰り返しますが、あまり過剰な期待はしないでください。短期間で何百万ドルもの利益を上げたトレーダーたちの話を多くの人は読みたがりますが、こういったトレーダーたちは過剰なリスクをとっていたために、その後、破算してしまうことも多いのが現実です。

 もうひとつ、きわめて重要なことですが、あなたの現在での成功や失敗を基準にして、将来の成功を占わないでください。あなたは、自分の手法が市場で機能する素晴らしい時期を経験すると、自分は天才トレーダーだと思うでしょう。しかし、マーケットの状況が変わると、その手法を捨て、ほかの手法を探す「聖杯探し」に出かけるようになります。しかし、マーケットはいつも変化しています。そのために、結局はうまくいきません。私の顧客ももう10年間「聖杯探し」を続けたあと、私のところへ戻ってきました。シンプルなやり方に戻るために。

 初心者ができる最良の方法とは、シンプルで実行可能な手法を1つに決めて、手放さないことです。そして、マーケットの状況が理想的でないときには、その状況が改善するまで、忍耐強く待つことです。私は自分の手法が機能することを信じて疑いませんが、それは実行可能なときだけで、マーケットの状況が理想的でないときはただ待つだけです。  冴えない状況下であってもリスクを抑えて生き残った人は、たとえ多くは稼げないとしても、あるいは少しだけ損をしたとしても、大当たりばかりを狙う人よりも長期的には成功するチャンスがずっとあります。辛い期間を生き残った人は、トレードはそんなに生易しいものではないと知っていますから、状況が改善しても、リスクを抑えることが染み付いているのです。

   最後にひとつ、もしあなたが私の手法でトレードしているのならば、ディスプレイに1日中くぎ付けになる必要はありません。あなたが現在の仕事に何の不満も感じていないのならば、その仕事を続けたほうがいいと思います。忙しいトレーダーほど、優れたトレーダーになります。チャンスが到来したときだけトレードして、それらと並行して、もし医者だったら患者の命を守るために仕事をし、建設作業員だったらビルを建築するために精を出し、そのほかの素晴らしい仕事のために出かけるのです。退屈だからといって、理想的でない状況でトレードすることはないのです。

 もしあなたが1日中トレード画面の前にいても快適だと思えるのならば、もっと忙しくなるように、トレード以外に何か別にやることを探してください。マーケットは私をとりこにしているので、私はいつもマーケットから目を離しませんが、その目は「お金を儲けてやろうとギラギラした目」ではないです。私の場合は、研究やリサーチや顧客とのやりとりだけ大変忙しいので、オーバートレーディング(トレードのしすぎや大きなトレードサイズでのトレード)の誘惑に負けることはありません。



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 著者紹介 デーブ・ランドリー(Dave S. Landry)

Dave Landry氏

1990年代の初めから活発にトレードを始めるようになり、1995年にCTA(商品投資顧問 業者)のセンシティブ・トレーディング社(www.davelandry.com)を設立し、2009年 まで運用を行う。著作に『裁量トレーダーの心得 初心者編』『裁量トレーダーの心得 スイングトレード編』(パンローリング)や『デーブ・ランドリーズ・10ベスト・パ ターンズ・アンド・ストラテジーズ(Dave Landry’s 10 Best Swing Trading Patterns & Strategies)』などがあり、ロシア語、イタリア語、フランス語、中国語 などに翻訳されている。テレビ出演や『テクニカル・アナリシス・オブ・ストック ス・アンド・コモディティーズ』『アクティブ・トレーダー』『トレーダーズ・ジ ャーナル・シンガポール』などの雑誌によく寄稿している。1997年から毎日、ホーム ページでトレーディングについてのテクニカルなコメントを書いてきたほかに、国内 外のトレーディングセミナーで発言してきた。大学時代にはコンピューターサイエン スの理学士、MBA(経営学修士)を修得。現在は、米プロフェッショナルテクニカル分析 協会のメンバー。

 著者ウェブサイト

裁量トレーダーの心得 スイングトレード編
裁量トレーダーの心得 初心者編


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