5年間、米穀新聞に掲載された約百編のコラムを軸にまとめられた一冊。『鎧橋のほとりで』続編
投機を事業目的に掲げた最初の日本人は坂本龍馬である。
日本初の商社亀山社中を旗揚げした時、
龍馬は「開拓、運輸、投機、射利」の四本柱を押し立てた。
コンプライアンス(法令遵守)がやかましい昨今、
射利は願い下げたいが、投機心漲る平成の龍馬はまだか。
中江兆民はガンに冒され余命、一年半と宣告されると『一年有半』を出版、
ベストセラーになるが、八ヶ月後に他界する。
識徳兼ね備えた名医の誉高い堀内謙吉博士が余命を読み誤るはずがない。
兆民を気落ちさせないため、さじ加減をしてくれたに違いない。
(本文「『文士の商法』で事業に失敗した兆民」より)
第二章 旅
商魂逞しい華商たち
世界五大落胆名所
スイスの古都ルツェルン
白壁が映える近江商人屋敷
ワルシャワの執念か機知か ほか
第三章 本
ネット古書店繁昌記
美輪明宏の『椿姫』を観る前に
金儲けを誇れば失う端緒『豪商立志譚』
ホリエモン事件で脚光の『私は偽悪者』 ほか
第四章 ひと
渋沢栄一が語る「ソロバンと倫理は両立する」
龍馬はまだか
米騒動と正力松太郎
借金の天才たち
五つの新聞社に籍を置いた啄木 ほか
第五章 土佐
ゴールドラッシュとジョン万
天下取る狸おやぢの昼ね哉――金子直吉
「マルチの帝王」を名乗る男
米を巡る断想――米相場復活の年頭に ほか
あとがき
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